日本弘道会は、会祖である西村茂樹が明治9年に創設した道徳を啓蒙する団体で、すでに150年近い歴史を持ち、学術研究の対象にもなっております。敗戦をも乗り越えてこれだけ長く続いてきた団体はまれですが、それは時流に流されずに、地道に真に国民が共有できる道徳を究明し啓蒙してきたからです。
本会は、専門家だけの集まりではありません。学識経験者も多数参加されていますが、それ以上に一般の方々を活動の中心にすえております。道徳を考えるには、生活者の視点というものが必須です。みなで共有できる価値観をさぐっていくことがだいじなのです。
道徳というと堅苦しいお説教のように思われがちですが、人間が社会で共生していく以上、必須なものです。政府や教育界だけのものではなく、万人のためのものなのです。本会は日本の伝統的価値観を尊重しながらも、旧来の方式に無批判になずむのではなく、今真に求められる道徳を広い視点で探し当てながら、それを普及させていくことを目指しています。会祖の精神を尊重し継承しておりますが、教祖のような存在がある団体ではありません。
公益社団法人日本弘道会
会長
土田 健次郎
戦後、日本はいろいろと内部衝突がありながらも全体としては何とか安定を維持してきました。そこには日本の伝統である「和」の精神がまだ残っていたことがあると思います。大災害の時の人々の相互扶助にもそれが現れていました。ただこれからは外国人の受け入れが加速され、放置しておいてもおのずと調和していくとは言い切れません。そこで必要なのはもう一度「和」の尊重などの日本の伝統精神を確認しつつ、異文化を背負って日本に来る人々との共生を意識的にはかることです。多文化共生の社会には、それぞれの文化を尊重するとともに、共に生きていくうえでの共通のルールが求められます。長い歴史を持つ日本という場でそれを探るには、日本の伝統的文化や価値観を自覚化しながら、外国から来られた方たちの意見にも耳を傾けることが必要です。日本弘道会の会名にある「弘道」の語は、『論語』に見える孔子の言葉、「人能く道を弘む。道 人を弘むるに非ず(人が道を広められるのだ。道が人を広めるのではない)」に由来します。道徳はあくまでも人間のためのものであり、それを広められるのは人間自身なのです。本会は従来にもまして広い視野を持ち、会の名の示す通り「道を弘める」活動をしてまいります。
本会の活動に対するご理解とご賛同をお願い申し上げます。
西村茂樹は、幕末に佐倉藩士として藩主堀田正睦の側近となって藩政に参画して活躍、藩政改革などに貢献しました。明治初期、福沢諭吉等とともに明六社を興し、開明的な啓蒙活動を行うとともに、文部省編集局長として教科書の編集を担当するなど、爾来一貫して社会道徳の振興・普及、道徳教育の推進に中心的な役割を果たしました。
明治20年『日本道徳論』を公にして、西欧の模倣と追随に終始する政治や社会の在り方に警鐘を鳴らし国民道徳の確立を訴え続け、官職を辞した晩年には、執筆活動をしながら、全国を行脚して社会道徳の高揚に一身を捧げた思想家であり、生涯教育の先駆者です。
近年、西村の著作『日本道徳論』、『国民訓』などの著作が、ドイツの学者により、ドイツ語として発刊、広く外国においても紹介され、注目されています。
会祖
西村 茂樹
名称 | 公益社団法人日本弘道会 |
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所在地 | 〒101-0065 東京都千代田区西神田3丁目1番6号 日本弘道会ビル8階 |
TEL | 03-3261-0009 |
FAX | 03-3288-0956 |
代表者 | 会長 土田 健次郎 副会長 髙坂 節三 |
設立 | 明治9(1876)年 4月7日 [大正3(1914)年 3月6日 社団法人認可] [平成23(2011)年 3月23日 公益社団法人移行認定] 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律による公益認定基準を満たす公益社団法人として、内閣総理大臣の認定を受けている。 文部科学大臣の所管に属する社会教育関係団体でもある。 |
役員 (令和5年12月6日現在) |
理事 土田 健次郎(本会会長 早稲田大学名誉教授) 髙坂 節三 (本会副会長 公益財団法人日本漢字能力検定協会顧問) 秋山 富一 (元住友商事(株)特別顧問) 大澤 幸夫 (元放送大学学園理事) 押谷 由夫 (武庫川女子大学大学院教授) 木村 治美 (共立女子大学名誉教授) 澤 英武 (元産経新聞社編集委員) 杉原 誠四郎 (元城西大学教授) 菱村 幸彦 (元国立教育研究所長) 向山 行雄 (敬愛大学名誉教授) 茂木 友三郎 (キッコーマン(株)名誉会長) 渡辺 利夫 (拓殖大学顧問) 渡貫 博孝 (元佐倉市長) 監事 伊藤 克巳(元住商ビルマネージメント(株)取締役社長) 伊戸川 啓三 (元金沢国税局長) |
目的 | この法人は、明治9年に西村茂樹が内外の情勢に鑑み精神文化の重要性を訴え、その向上啓発のために創始した国民道徳の流れを汲むものである。 道徳の尊厳性を認め、同時に人類文化の推移変化に対応して、合理的普遍的な道徳理念の探求とその実践に努め、社会正義と世界平和に寄与することを目的とする。 |
支会 | 現在、全国に11支会を設置 |
支会名(設置順) | 島根、野田、佐倉、安房、有田、平川、八千代、茨城、木更津、銚子、岩手 |
事業 | 各活動情報をご覧ください。 教育活動出版活動 研究活動 |
明治9年1876年 | 西村茂樹は、阪谷素らの同士とともに日本弘道会の前身である「東京脩身学社」を創設 |
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明治20年1887年 | 会名を「日本弘道会」と改称、この年『日本道徳論』を発刊 |
明治25年1892年 | 『日本弘道叢記』を発刊、この第1号を会誌『弘道』の元数とする |
大正3年1914年 | 社団法人の許可を受ける。現在地に土地を購入し拠点を確保 |
昭和60年1985年 | 現在地に鉄筋コンクリート8階建の「日本弘道会ビル」が竣工 |
平成8年1996年 | 「創立120周年記念式典」を挙行。『日本弘道会百十年史』を刊行 |
平成11年1999年 | 明治25年創刊の会誌『弘道』は、1000号に達する |
平成16年2004年 | 増補・改訂 西村茂樹全集(全12巻)の第1巻を刊行 |
平成18年2006年 | 創立130周年記念行事を実施 |
平成23年2011年 | 公益社団法人日本弘道会発足 |
平成25年2013年 | 増補・改訂 西村茂樹全集(全12巻)を刊行 |
平成27年2015年 | 近代日本における修身教育の歴史的研究ー戦後の道徳教育までを視野に入れてーを刊行 |
代 | 氏名 | 在任期間 |
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初代 | 西村茂樹 | 明治9年~35年 |
第2代 | 谷 干城 | 明治35年~38年 |
第3代 | 松平直亮 | 明治38年~40年 |
第4代 | 徳川達孝 | 明治40年~昭和16年 |
第5代 | 堀田正恆 | 昭和16年~26年 |
第6代 | 酒井忠正 | 昭和26年~46年 |
第7代 | 野口 明 | 昭和46年~54年 |
第8代 | 西村幸二郎 | 昭和54年~60年 |
第9代 | 鈴木 勲 | 昭和61年~令和5年 |
第10代 | 土田健次郎 | 令和5年~現在 |